ミカエルへの道 Ⅱ ~デトロイト優貴~
2017年11月28日 - ミカエル訪問2017年秋「ミカエルへの道」 最新情報 講座ブログ 高島 なゆみ
日曜日の夜、モントリオールに到着すると、すでに合流予定の2名がエアポートで私を出迎えてくれた。
トランプ来日の当日だったので、出国に神経を使ったが、問題なく現地入りできてほっとした。
後は翌日、ニューヨークからくる優貴ちゃんを待って、車でブロモンに向かえばいい。
私達は、簡単な食事をルームサービスで頼み済ませると、明日に備えて就寝した。
翌日の出発は10時半くらいなので、気分はゆったりしている。
目が覚めたら起きて支度をしても、十分間に合う、そんな感じで眠りに着いた。
目覚めてなんとなくベッドでうだうだしているとラインが来た。
「トラブル発生、飛行機に乗り遅れた。」
優貴ちゃんからだ。
「え、乗り遅れた?」
私と腰塚は、同時に声を上げる。ベッドの上に座り込むと、ラインをじっと見つめる。
今年からカナダ入国にビザが必要になったのだが、どうもその手続きがうまくいかず、
手間取っている間に時間切れになってしまったようだ。
結構便がたくさんあるので、次のに乗れば~位に思っていたら、事態はそれほど簡単ではなく、
諸々の理由で、彼女はいったんデトロイトに飛んで、
そこからモントリオール便に乗り換えるという選択を強いられている。
「デトロイト~!!行かなくていいよ、そんなとこ、もうゆっくり明日でもいいからさ~。」
と書いている間もなく、彼女はデトロイト便にすでに乗り込み、
なんとかして今日の夜にはそちらに着きますとラインしてきた。
取りあえず、目先の課題は、レンタカーをしてブロモンに行くだ。
いつもレンタカーや運転を優貴ちゃんにお願いしていた私は、急にブルーになる。
何度も行っているのだが、毎回高速の途中がちょっとわからくなる。
そしてブロモンの小さな町の道がよくわからない。
優貴ちゃんは住んでいるかの如く、細部まで理解していて、
ミカエルの行きつけのどのお店でも、すいすいと行けるのに。
取りあえず、行くか~。重い腰を上げ、レンタカーをして、私たちはブロモンへ向かった。
2年ぶりのブロモンは、新しいお家がたくさん増えていて、そしてミカエルの家も随分変化していた。
何が変わったのかははっきりわからないが、家全体に満ち満ちていたミカエルのエネルギーが、
少しよそよそしく、少し希薄に感じられた。
扉を開けて「ミカエル~」と呼びかけると、「ハロー」と声がする。
入っていくとミカエルはライブラリーで手仕事をしていた手を休め、
いつものように温かく、迎え入れてくれた。
リビングでお茶を飲みながら、優貴ちゃんがデトロイトに行ってしまったこと、
今晩7時くらいにモントリオールに入ること、などの話をしていると、
優貴はモントリオールからどうやってここに来るのかと聞く。
タクシーで来るように言ってあるの。モントリオールのホテルで一応ブロモンに行く
最もいい方法を聞いたら、タクシーに乗れ、って言われたから。
というと、ふ~んという感じでごそごそする。
「昨日、ここに来た人が、ブロモンとモントリオールの送迎をやっている人なんだ。
もともとこの地域の警察官で、道をすごくよく知っているし。リタイアしたんだけれど、
頼むと送迎をしてくれる。電話していくらくらいかかるか、聞いてみよう。」
「ミカエル、お金はいい。いくらでもいい。出すから。ともかくその人に頼んで。
優貴ちゃんのことだから、タクシーじゃなくてバスで行けないかとか、くだらないこと考えるんだから。
その余計な神経、これ以上彼女に使わせたくないから。」
ミカエルは名刺を見つけ出すと、にっこり笑って、電話をしてくれた。
交渉は成立し、優貴ちゃんにラインをする。
「こちらから車を手配して、空港に迎えに行きます。」
それを読んだ優貴ちゃんが、心底ほっとしている様子が手に取るように分かる。
ミカエルはよく口にする。全てが必然で、全てが学びだと。
一つ一つの出会いには、必ず必然があり、そしてその出会いは、多くの事を教えてくれる。
そろそろ夕食の時間に差し掛かり、のんびり過ごしている時に、昨日名刺を渡したばかりの相手から電話。
今からすぐモントリオールに出向いて、一人ピックアップしてくれないか?という頼みを、
快く引き受けてくれるなんて。ミカエルの頼みだから引き受けてくれた。
たった一回の出会いで、それだけの絆を作れるミカエルという人と、私は今同じ空間を共有している。
その幸せを感じる。と同時に、私だったらその頼みごとを引き受けられるのだろうか、
と自分に問うてしまう。
彼は何も言わない。いつでもニコニコと私を見る。でも、多分、彼は教えている。
なゆみ、惜しみなく人のために尽くしなさいと。
それは必ず自分を、自分の大切な人を、助けてくれるからと。