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ミカエルへの道 Ⅶ ~マットレス~

2017年11月29日 - ミカエル訪問2017年秋「ミカエルへの道」 最新情報 講座ブログ 高島 なゆみ

ホップ盗みに飽きたミカエルは、ティピで火を炊くことを思いついた。
腰塚はティピに入ったことがないので、彼女のためにもそれは絶対欠かせない儀式なのだ。

 

「なゆちゃ~ん、ティピで火を炊くって。」と優貴ちゃんが呼びに来てくれた。

 

「はーい」と返事をしながら、上から眺めていると、ティピのなかから、色々な物を取り出している。
以前ライブラリーにあったカメの椅子もティピから救出されてきた。
これはなんだか大変だ。流石にのんびりはダメだな~と思い、慌てて外に出ていく。

 

「なんか一杯入っていたのね、ティピの中に。」ティピの中を手箒で掃除をしていたミカエルに呟くと、
「一週間くらい、ここに寝てたんだ、人が」という。

 

なんか、嫌な予感がする。

 

以前もティピで寝させてくれと言ってきた若い男の子がいた。
彼とミカエルは、長い間の知り合いだが、ミカエルの彼への愛情は、
私が知る限り、良い形で実りを結ばなかった。
そして、そのことでミカエルは深く傷つき、また、自己との葛藤を余儀なくされた。

 

「なゆみ、僕は怒っているし傷ついている。彼を殴りたいという衝動さえも感じる。
でも、僕は耐えなければいけない。なぜなら僕は決めたから。
怒りや闇は人を救えない、どんな時でも愛を与えることでのみ、人は救えるんだ。
だから、僕は、何度僕の気持ちを踏みにじられても、また、彼に愛を与えようと思う。」

 

私にとても強い口調で、そう訴えたミカエルを、忘れることができない。

 

「モントリオールでダンスをやっているらしいんだけど、突然やってきて、ティピで寝てたんだ。」
「え、知らない人。」
「そう、全然。」
「ティピで寝ていて、びっくりして、誰?って聞いたんだよ。」
「そりゃ、聞くよ。」
「それで1週間くらい、ここで寝てたんだ。」
「・・・・・」
「そしたらある日、突然いなくなった。」
「・・・・・」
「みんな置いてっちゃったんだ。」
「これ、ミカエルのじゃないの?」

 

ベッドの上に置くような大きな重いマットレスが2枚、ティピに残されている。

 

「違うよ。」

 

雨の水がびっしょり浸みたマットレスを、皆が奮闘して取り出している。
ともかく干して中まで乾かさないことには、どうにもならない。

「ミカエル、人が良いにも程がある。」と、私がふくれ顔で言うと、
「なゆみ、誰でも誰かの助けが必要なんだよ。」と、さらっと言ってのけた。

 

私は、そっとミカエルのハートの上に手を当てた。

 

彼は初めて会った時から、大天使ミカエルだった。
私がミカエルと会うのは、いつでも数日で、そして一年に一度くらいでしかない。
のべにしても彼と物理的に過ごした時間は、2週間にも満たない。

 

それでも彼は私の中で、絶対的なポジションを持って人生の師として君臨している。
そしてその短い時の中で、ミカエルはあらゆる顔を見せてくれる。
時に怒り、時に悲しみ、時に鬱のように心を閉ざす。

 

どんなミカエルでも、彼はいつでも限りなく広く深い情報領域の中で自身を表現する。
どんなに近くにいても、彼の見ている真実を、共に見ることはできない。
それをするには、私はあまりにもちっぽけで、あまりにも不完全で、あまりにも狭量だからだ。

 

2年ぶりのミカエルは、また一つ階段を上り、また一つ何かを捨て、
それによって得た絶大な自己信頼とパワーを掲げ、惜しみなく私に光をくれる。
ミカエルのハートは、吸いこまれるほど深く、ずっとそこでまどろみたいぬくもりを持っていた。

 

私の手に、自分の手を重ね、ポンポンと軽くたたいて、
「なゆみには、分かるだろう。」といつものように呟いた。

 

私は自分を少し恥じながら、同時に少し悲しかった。この人は、また、とっても遠くに行ってしまった。
そしてまた、彼の崇高で孤独な魂を感じた。その前で、私は、絶対的に無力だ。

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