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ミカエルへの道 Ⅺ ~高みへ~

2017年11月29日 - ミカエル訪問2017年秋「ミカエルへの道」 最新情報 講座ブログ 高島 なゆみ


久しぶりに訪れたミカエルの場所は、全てがミカエルで埋め尽くされていた時とは違い、
ちょっとよそよそしい顔をしていた。ミカエルが薄れたというか、うまく表現ができないが、
以前の濃厚さが影を潜めた感じがする。

 

ミカエルが植物を愛し、理解し、それを通して多くの人たちに彼の信念と、彼の全ての物に対する深い愛と、
サポートを与え続けてきたその軌跡を、ビジネスという違う角度からアプローチし、
効率よく、必要な方々に届けますよ、という形に変化させたザヤットオイルカンパニーは、
ミカエルの手を離れて、違う道を歩き始めている。

ビジネスの成功は、ミカエルに一種の余裕と安堵を与えているけれど、
それは多分、彼がやり続けた先にある物ではなく、彼がやり続けてきた物を土台にして、
新たな方向性を接ぎ木のように付け足した物なのだと思う。

 

「今、ザヤットオイルは12人もスタッフがいるんだよ。
僕はずっと僕とアシスタントと2人でやってきたのに。」

 

と彼は呟く。それはいい事でも悪い事でもない。目指す物が全く違うのだ。

 

何時でも色々な人が訪ねてきて、ミカエルの図書館は賑やかだった。
朝、私たちが行くとすでに3、4人の人たちがキッチンにいて、
私たちが買ってきたクロワッサンを待っていた。

 

ざわざわと人が入れ替わり立ち代わり出入りしていても、
ミカエルはいつでもたった今居合わせた人たち全員を一つにまとめて、
それぞれの新たな心の扉を開く方法を知っていて、それぞれに感動と共感をもたらしていた。

 

今回の訪問は、静かな訪問だった。訪ねてくる人も少なく、
その分私たちはたっぷりミカエルを独り占めした。
状況の変化を、ミカエルは淡々と受け入れ、どういう状態でも自分を満足させ、
自分が幸福であるということを、噛みしめることができる。
変化していくブロモンという町も、自分のエッセンシャルオイルに関する環境も、
自然に受け入れて、あらゆる物に、心を開いている。

私は少し淋しかった。それと同時に、彼が自分の教会と呼んでいた場所から、解放されたような気がした。

 

初めて彼とコンタクトを取った時、故斉藤先生の大きな望みであった、
日本にもう一度ミカエルを呼びたい、という思いを伝え、是非日本に来て欲しいと頼んだ。
話が進みそうで進まないという事態に、私はマリーとミカエルを直接訪ねることに決め、飛行機に乗った。

 

ブロモンで私たちを出迎えてくれたミカエル。ほんの一時過ごしただけで、
ワークショップは日本ではなくてここで開催したいと強く思ったことは、鮮明に記憶に残っている。
ミカエルとミカエルがいる場所が一体になって、ユートピアを作っている。
彼が愛する物に囲まれ、この場所にいるということが、とっても重要なことだということが、
ひしひしと感じられた。

 

ああ、皆とここで集いたい。その思いは翌年叶い、いまでも思い出すと心を熱くする、
素晴らしいひと時を素晴らしい仲間と過ごした。

あれから5年の歳月が流れて、色々なことが変化している。
もうミカエルをここに強く結びつける物は少なくなった。
彼はずっと自由になった。昔の写真を一緒に見ながら、

 

「ああ、富士山、ここはその近くの神社、日本は素晴らしいね、とても美しい。
そしてとても楽しい旅だった。」と懐かしそうに語るミカエルに
「ね、ミカエル、来年モントリオール-成田の直行便が就航するのよ。そしたら日本に来ない?」
と水を向けると「行きたい。是非行きたい。」と答える。

彼は、彼が作ってきた一つの時代から次の時代への歩みを始めている。
一時の彼の葛藤時代を超えて、静かに淡々とさらなる高みの境地に、歩みを進めている。
絡み付いていた重苦しいエネルギーをすっかり洗い落とし、さらに洗礼されたエネルギーをまとっている。

 

「ミカエル、オイルが色々欲しいから、これからザヤットに行って来る。」と言うと、
「僕が一緒に行こう、その方がいい。欲しいオイルはわかっているの。」と聞く。
リストを見せると、「わかった、一緒に行こう。」と同行してくれた。

 

シングルオイルを自分で準備してくれて、ブレンドオイルはちょっと考えてから、
「今、僕がブレンドするよ。」と言ってラボに入り、わざわざ自分の手でブレンドしてくれた。
ブレンドオイルは、ブレンドした人のエネルギーが加わって一つの完成品になる。
ミカエルは昔ながらのミカエル自身が手掛けたミカエル・ザヤットアルケミストオイルを作ってくれた。

 

「やっぱりミカエルが作ってくれたオイルは、すぐわかる。光量が違うから。」

 

ミカエルはにっこりほほ笑んだ。そんなミカエルを見て、幸福感と不安感を同時に感じた。
この人は、どこまで遠くに行ってしまうのだろう。

自分の信念を貫き、それでいて決して人と争わない強さと、必要とされた時には、
全エネルギーを注いで相手を受け入れるが、自分から能動的に寄り添わない静けさ。
誰とどんな場面で何をしていても、彼にはいつでもその崇高さを理解されていないという孤独がつきまとう。
一人孤高の道を歩み続ける彼の孤独に、私は切なくなる。

 

帰ってきてマリーに手紙を書いた。
ミカエルに会ったことと、ミカエルの近況を、私が感じたまま伝えた。
彼女から返事が来た。

 

「私もそういう風に感じている。彼は色々な雑念に惑わされず、
自分が神から授かったギフトを、今こそ自由に使う時がきたのだと思う。」

 

と返信が来た。

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